建物明渡し(立退き)について

建物明渡し(立退き)について

収益物件をお持ちの方々にとって、借主様(入居者)は大切なクライアントです。しかし、反面、賃料の滞納や、騒音・不審行動等の迷惑行為の発生、無断で第三者に又貸し等、賃貸経営をしていくなかで、入居者から大小さまざまな損害を被るというリスクもあります。

時々現れる、このような困った入居者に対し、家主としてはどのように対応していくべきでしょうか。

ところで、ご存知かもしれませんが、日本の法律では、特に、居住用物件の借主は手厚く保護されています。これは、人間にとって「住居」というのは、生活の基礎を築くベースであって、このベースを失うことは、社会生活を送るにあたり、大きな不便を強いられるからです。したがって、いくら入居時の契約書で、「家賃を一回でも滞納したら退去すること」などとうたっていて、それに借主が署名押印をしていたとしても、一回くらいの滞納くらいでは、すぐに退去せよなどと言えないことになっています(言うのは自由ですが、裁判では負ける可能性大)。また、騒音等の迷惑行為のある入居者であった場合、近隣の住民からこれに対するクレームを受けたとしても、そのクレームのみをもって一方的に退去を命じることも、難しいのが現実です。ましてや、困ったあげく、入居者を強制的に退去させるような行為(荷物を出して玄関の鍵を変えてしまう等)をしてしまえば、逆に家主が訴えられてしまうかもしれません。

いっぽう、例えば賃料滞納のある入居者の方に対し、「払え」というのもなんだか血も涙もないみたいで言いづらいな…などと悶々としているうちにあっというまに数ヶ月が経った、ということになると、もともと1か月分の家賃が払えなかった人ですから、大きな金額になったということだけでびっくりされて、入居者が家主と話すことさえ拒んでしまうなどということもあります。

そこで、家主側としては、これら困った入居者に対して、法律の枠組みのなかで、問題の初期段階において、迅速にアプローチを行っていく必要があります。そして、段階ごとの効果を確認しつつ、どうしても困った入居者を続けている場合において、最終手段として、裁判所を使った建物明渡しの強制執行をかけることができるということになります。

一足飛びの強制執行ができれば…とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ここで注意しなければならないことは、強制執行には、「お金がかかる」という事実です。

強制執行をするような状況ということは、通常、家賃もずいぶん滞納されていたりして、すでに賃貸経営者としては損失を被っているわけです。そういう状況のなかで、さらに費用をかけて強制執行を行うことほど、悔しいことはありません。ですから、そういう最終手段を講じざるを得ないところまでいかずに、滞納賃料を回収し、場合によっては穏便に引っ越していただくようにするのが、賢い家主さんのやりかたということになります。

なお、どうしても出て行ってくれない、滞納賃料はたまるばかり…という状況では、しかるべき段階を踏んだ後、速やかに訴訟→執行等の手続きに入るべきでしょう。収益物件で賃料を得られないことは、健全な賃貸経営にとって避けるべきリスクだからです。
入居者と良好で末永い関係を続けるためにも、できるだけ損害の小さいうちに対処していきましょう!

 

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