【ひとくちメモ】ひとりで遺産分割協議をすることの可否

2015-08-27

さて、父母と子ひとりという家族関係で、父親が亡くなりました。

父親の遺産について母と子が協議しなければ!と思っているうちに母も亡くなりました…。

実は母と子は、「父の遺産は、子が引き継いだほうがいいね」と話し合っていたのです…

…と、いうわけで、子が、子自身の立場および母の唯一の相続人としての立場で、「父の遺産は、子が取得することに決まりました。」というような内容の遺産分割協議書を作成して、登記の申請をすることができるか?という、ちょっとレアそうで、実はそんなに珍しくないケースについてです。

実は、一昨年頃までは、登記実務としては通っていたのですが、同業者から、「ひとり遺産分割協議書NGって登記官から言われたよ~」とかいう話を聞いたりしていたところ、昨年春に、東京地裁で、「ひとり遺産分割協議書」での登記は認められないという判決が出まして、これにより、法務局の取扱いも、おおむね、その判決に従うようなところとなっているようです。

今回、お受けした相続案件が、まさにその内容だったので、判決内容をしっかり読んでみたというわけです。

一般的な感覚から言うと、「ひとりで遺産分割協議とか、ありえないわ~」という印象をお持ちになろうかと思います。地裁の判決も「なるほどね」とうなずける内容でした。

しかし、このひとり遺産分割協議」での登記というのは、何よりも、お客様のために非常にメリットのあるシステムだったのです!

それは、もし、この「ひとり遺産分割協議」での登記が認められないとすると、登記実務としては、①父の名義を、亡母と子名義に変える。②亡母名義を、子名義に変える。」という2件を申請する必要があるからです。

ひとり遺産分割協議が可能であれば、①亡父名義を直接、子名義にする、という1件登記ですみます。

変わってくるのは、司法書士の報酬(←でもこれはそんなに高くありません(泣))や、登録免許税です。

登録免許税が、仮に20万円かかる物件だとすると、2件申請することで、この1.5倍(すなわち30万円)かかることになるのです。

ただ税金を無駄に払うだけの登記…日本の税収を増やすための草の根判決なのかもしれません。

判決はありますが、実務対応が変わってくれることを願います。

 

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