【ひとくちメモ】相続人以外に遺産を渡したい場合の注意点②

2015-08-24

前回、相続人以外の人に遺産を残したい場合に、遺言執行者は選んでおいてほうがいいですと申し上げました。

今回は、少し、悩ましい問題です。

遺言というのは、亡くなられた方の遺志ですから、最優先されますが、その遺志が通らない場合があることをお伝えしたいのです。

それは、相続人(ただし、兄弟姉妹以外)が、「遺留分(いりゅうぶん)」の権利を行使したときです。

遺留分権とは、たとえ、遺言で、あるひとりが全部取得するような内容になっていても、兄弟姉妹以外の相続人(配偶者、子、親、祖父母)であれば、自分が法律上有している相続権について、その半分ないしは3分の1を、ひとりじめした相手に対して戻すように請求できる権利です。

なんでこんな規定があるかというと、「相続人の生活を最低限保障する」とか、「相続財産に内包されている(かもしれない)、相続人の権利を尊重する」みたいなところのようです。

この遺留分権の主張(これを「遺留分減殺請求(げんさいせいきゅう)」と言います)は、基本的に、その人が亡くなって、遺産について自分の相続権が侵害されたことが判ってから1年内にしなければなりませんが、遺留分減殺請求をされると、基本的にはその権利は争わずに有効化しますので、けっこう協力な権利です。

ただし、実際にどのくらい自分の相続権が侵害されているかについては、相続財産が総額でいくらの価値があるのか、生前の贈与や寄与関係、相続債務の厳密な計算等々、裁判等によって解決していかなければならない可能性も高くなります。

この遺留分を回避する方法ですが、遺言執行者のような切れ味のいい解決方法というのは、ありません。

あえて申し上げれば、「遺留分を侵害しない遺言を作るようにする」というのが、ひとつの方法です。

つまり、法定相続分の2分の1(配偶者又は子)ないし3分の1(父母祖父母)くらいを、相続分としてあらかじめ渡すことを遺言に定めておくことです。

このようにしておくことで、相続分以下の財産を受けとった方も、それ以上の手を打つことは難しくなります。

もちろん、先にも述べたように、遺留分の侵害割合は、厳密な計算は困難なので、ざっくりとにはなろうかと思います。

しかし、その差額までを遺留分侵害請求として争うという方は、格段に減るのではないかと考えます。

そしてとても大事なことですが、もともと、遺言は、相続人同士が争わないようにするためのものです。

遺言をする人の気持ちに立てば、複雑な思いも多いと思いますが、遺言をされる方の、各相続人に対するご配慮などが見えると、遺された皆さんも気持ちよくお線香をあげに来てくれるでしょう。

なお、前回の遺言執行者については、私のアドバイスとしては「入れておいてたほうがいいです!」と強くご案内いたしますが、この遺留分に配慮した遺言にするかどうかは、その方々ごとにケースバイケースだと思いますので、私のほうでは、ご説明だけはさせていただいて、じっくり考えていただいています。

遺留分のほうは、遺言執行者と違い、かなりお気持ちを揺らす部分だと思うからです。

 

 

 

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